霧が晴れたように、自分自身が「どうありたいか」明確になった西和賀町での日々
ysさん
滞在期間 2024/11/2~2024/11/11
「岩手」という地域のワーホリに応募しようと思ったきっかけは?
また、「ネビラキカフェ」を選んだ理由は?
2024年9月に石巻市の街づくり会社にてワーホリを通じて就業させていただく機会があり、その期間中に観光で盛岡市内を訪れました。岩手県をはじめ、北東北に訪れる機会がこれまでほとんどなかったため、いつか長期間行きたいと思っていたところワーホリの制度で求人を見つけました。
以前より地域におけるまちづくりやローカルビジネスの実践に興味があり、西和賀町で「ネビラキカフェ」を開業された瀬川さんとお仕事することで自分自身に何か得るものがあるだろうと思い、参加に至っています。
受入先でのお仕事はいかがでしたか?
主な仕事内容は、カフェでのレジ業務・片付け・ドリンクやフードメニューの準備です。私自身は過去に飲食店等で働いたことがないため未経験での就業でしたが、日を追うごとに慣れていったと感じます。温かい料理や飲み物を提供する際は作り始めるタイミングを見極める必要があり、これまでの仕事では使ったことがない頭の使い方をした感覚はありました。
仕事については個々の作業よりも、経営や運営面の目線で振り返りたいと思います。
ワーホリ期間を通じて、自分は仕事を通じて社会/他者へどのような価値を提供し、貢献していきたいのか改めて考える時間になりました。
一般的には誰かに雇われながら働く社会。その社会において、仮に自分で仕事を作り出してお客様へ価値提供を行い、お金をいただくなら何をするのか考えるきっかけを得ました。
価値提供に至る過程として、まず抽象的な要素として「こんな世界を作りたい」という理想が生まれ、その世界を実現するために必要な具体的要素として「お店・サービス・プロダクト」などが生まれるのだと実感しました。
そう考えると、カフェを経営することは「目的」ではなく「手段」になります。
瀬川さんご夫妻には西和賀町において実現したい世界線があり、その理想を叶えるための手段として4年前にネビラキカフェを開業されたものと想像しています。今後ゲストハウスを開業されるのも、その世界線を構築していくための要素ではないでしょうか。
もう少し広い視点でみていくと、「街づくり」は一つの小さな世界を作ることであり、その世界を作る過程にお店やイベントを作ることがあると感じています。
自分が社会においてどんな世界を作りたいか、どのような価値提供をしていきたいかという点を少しずつ考えたいと思います。
~ysさんのバイトしながらいわて旅~
西和賀町の人口はおよそ4700人。加速度的に進行する人口減少の影響により、消滅可能性がある自治体に指定されているようです。高校・温泉・鉄道はある反面、コンビニはないと思うと少し珍しい町にも思えます。
西和賀町で1週間暮らして気づいたことがあります。自分自身が暮らす街において重要なことは、コンビニや娯楽施設の有無ではないということです。自分自身がその街で楽しく暮らしたいと思う気持ちと、その街でともに暮らす方々の存在が重要だと感じました。もちろん、都会と地方では重視するポイントは変わるはずですが、地方に限れば前述の通りです。
スーパーが一軒しかなく、コンビニがない西和賀町。最初は食料のストックが尽きないかと考えるタイミングもありましたが、取り越し苦労でした。計画的に食料を使っていくことで1日に使うお金が0円だった日が多く、お店が少ないことで購買意欲も減少したことから食費に限れば経済的負担が減りました。
ワーホリという機会柄、瀬川さんやカフェで働く方と夕飯を食べる機会も多くありました。食事をする際はみんなで食材をシェアする代わりに下準備を手伝うなど、自分自身で全て賄う自助の世界ではなく、共に助け合って生きていく共助の世界がそこにあったように感じています。
本来的な意味の「暮らし」は家庭生活と仕事の総称だと思っていますが、現代は分断される傾向にあるように思います。
西和賀町ではお話を聞く限り、双方が分断されていないように感じました。良し悪しはあると思いますが、日常生活と仕事が分断されていないことで、得られる面白さや価値というものがあるのではないかと思います。
西和賀町での仕事と暮らしを総合的に振り返ると、今後自分自身がどのような場所で、どのような在り方で生きていきたいか...根が開くように気づいた時間となりました。